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オーナー通信

地域密着!トップインタビュー第13回 宇佐美本店株式会社様

更新日:2011年06月05日

今回のトップインタビューは、北九州市小倉北区で1895年(明治29年)創業の老舗 宇佐美本店株式会社4代目当主であり、書家・文字文化文筆家としてもご活躍中の宇佐美志都【うさみしづ】様をご訪問しました。代々受け継いできた家業に自らの書をコラボレーションするなどしなやかな外見とは異なる実業家としてのお話を拝聴しました。




―宇佐美社長と『書』との出会いをお聞かせ下さい。

宇佐美社長:母の影響で3歳頃から墨遊びをしていたと聞いています。常に紙と鉛筆を持ち歩き、自分の思っていることを話すよりも書いて伝えるほうが得意だったようです。
 小中高は成長に応じて其々の先生から指導をいただき、大学では国立福岡教育大学特設書道科
で学びました。


―漢字研究の第一人者で文学博士の白川静氏(故人)に師事されたと伺いました。

宇佐美社長:大学を卒業後、2つの高校で教鞭を執っていましたが、もっと『書』を探求したいという思いから、地元小倉、京都、東京の3箇所を拠点とした移動生活を数年繰り返しました。
 当時は小倉駅から早朝の新幹線で京都に行き、午前中から講義を受けて1~2日滞在した後、東京に移動、東京で学んだ後、飛行機で小倉に戻るという感じでした。やはり『師』と仰げる存在を求めるようになり漢字研究の第一人者で文学博士でもある白川静先生の研究所があることを知り門下生となりました。
 白川静先生は中学卒業後住み込みで働きながら苦学して大学を卒業し、立命館で教鞭を執る一方、数多くの書籍を残すなど生涯を漢字研究に捧げ、その功績は文化勲章を受章されるなど功績を残してくださった先生です。


-文字文化についてもう少しお聞かせ下さい。

宇佐美社長:人類が誕生したのが約50~60万年前といわれ、文字が生まれたのが約5千年前ですので、人類の誕生からすると文字の歴史は浅いですが、文字の成り立ちから先人の教えを学ぶことは多いです。たとえば3月におきた地震の『震』は『雨』と『辰』からなる文字です。『辰』には「ふるえる」という意味があり、妊娠の『娠』も『女』と『辰』からなる文字で、お腹の中で胎児が「ピクピク」動く様を「ふるえる」という文字で表しています。文字の1つ1つに意味があるので、そういうふうに漢字を見て先人の教えを感じとってほしいものです。


それでは、100年以上続く老舗宇佐美本店についてお聞かせ下さい。

宇佐美社長:「宇佐美」という苗字の起源は静岡県伊東市宇佐美です。静岡から名古屋へ移り、日清戦争後の曽祖父の代には台湾へ渡り、現地の方や名古屋から呼び寄せた職人など総勢200余名で蔵は賑わっていたと聞いております。
 大正14年に小倉と山口県宇部市に支店を開設し、その後、現在の小倉北区を本社としました。弊社が取り扱っている和調味料はそれだけで食べられるものではなく主役の引き立て役としての商品であり、これからもそうだと思います。
 約10年前に私が四代目を継承しましたが、常に『代々初代』を心がけ、当時は『創業100余年のベンチャー企業』という気持ちで仕事に取り組みはじめました。『健やかな日本の食卓の名脇役』といわれる商品創りに日々努めております。



多方面でご活躍されているので会社をお留守にすることも多いと思いますが、従業員の方とのコミュニケーションなどはどのようにされていますか。

宇佐美社長:確かに出張などで不在にすることが多いですが、私も従業員も特に不都合に感じることはないと思います。今は海外に居ても連絡は取れますし、スカイプなどを利用すればお互いの顔を見ながら話をすることもできます。また私の仕事柄かもしれませんが、電話口の頷きやメモ書きの速さで伝えたことを漢字で書いているかひらがなで書いているかが分かり、そこから従業員の気分とか体調を感じ取ることができます。相手の置かれている状態がわかれば、指導の仕方もそれに応じて変えられるので、まずは相手に寄り添うように努めています。余談ですが、メモを取る場合はできるだけ漢字で書くことをお勧めします。ひらがなよりも漢字の方が画数が多く一見手間に感じるかも知れませんが、後で見返す時に間違いを防ぎやすく記憶に残りやすいです。弊社の従業員には、できるだけ漢字でメモを取る習慣を身につけさせミス防止に努めています。


御社の商品は脇役と言われましたが、宇佐美社長のデザインしたラベルに包まれるととても洗礼されて食卓に置いても素敵です。官公庁や企業広告でも宇佐美社長の書を拝見する機会が増えていますが、どういう時にアイデアが浮かんでくるのでしょうか。

宇佐美社長:私が社長を受け継いで、父が造ってきた商品を母から教わった書で飾るという新たな取組みを始めました。デザインについては、母から幼い頃より「気になる文字があったら掌に書いてみなさい。」といわれて育ち、今も頭の中で文字を描く習慣がついていますので、紙と向き合うと自然と筆が走ります。お陰さまで経済産業省をはじめ、官公庁や企業の書を揮毫させていただいております。昨年10月には、愛知県名古屋市で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の日本政府提言書の表紙を担当させていただきました。





『書』から学んだことや文字文化認定講師として伝えたいことはありますか。

宇佐美社長:手書きで書くことの大切さを今一度見直していただければと思います。
 今回の震災で印象強くあるのが被災された方々の手書きのメモです。IT化が進む中で「書く」から「打つ」ことが主流になっていましたが、一字一字刻むように書いた手書きの文字が人間の思いや欲求をどれほど表現するかをあらためて感じました。書家・文字文化文筆家として先人の考えを読み解き、書くことのすばらしさを発信していきたいと思います。

プライベートの過ごし方を教えて下さい。また大切にされている言葉がありましたらお聞かせ下さい。

宇佐美社長:プライベートはのんびりとお風呂に入ったり、外に出てウォーキングやストレッチなど身体を動かすことも好きです。都内の自宅でもお寺で座禅を組んだり写経の会に参加したり、自分から好きな空間を見つけて楽しむようにしています。
 大切にしている言葉は、『自分の都を志す』。祖父が命名してくれた名前(志都)の由来に一歩でも近づくよう心がけています。

宇佐美社長、大変貴重なお話をありがとうございました。IT化が進む中で忘れかけていたものを教えられた気がします。



対談日:平成23年4月4日



(取材を終えて)
取材の中でお父様の造ってきた商品とお母様から受け継いだ書を結びつけたご両親への感謝の気持ちが、宇佐美社長の人となりを表していると感じました。
日頃は『志都ちゃん』『美和さん』と呼ばせていただくほど親しくお付き合いさせていただいており、和服姿のしなやかさの中に気取らない性格が仕事の幅を広げ国際的活躍にも繋がっているのだと思います。

私の執務室に掲げてある『和』の書は、本社を現在の地に移転した時に宇佐美社長に揮毫いただいたものです。
この時に初めて文字の意味を解説いただき感慨深かったのを覚えています。
同世代で同じ女性経営者として、一緒に新しい何かを北九州から発信していければと思います。


最後に『和』の意味をご紹介させていただきます。

「いさかい」などを取り持つという意味。

「のぎへん」は、関所などの門の意味。「口」は、神へ人間の想いを伝える手紙を入れた器。
(この「口」には人々のたくさんの想いがいれられるという意味になぞらえ、お客様の声に耳を傾け、より一層社会との接点を拓くことができる素晴らしい企業に成長してもらいたいと、宇佐美志都様より揮毫いただきました。)