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第44回 地域密着! トップインタビュー/北九州ダイハツ販売株式会社 代表取締役社長 勢 純一 様 

 創業85周年を迎えた北九州ダイハツ販売株式会社。ダイハツ工業が初めて自主生産を手掛けたオート小型三輪車・ダイハツ号の時代から北九州全域でダイハツ車販売をリードしてきました。人気が再沸騰する軽自動車の魅力からお客さまとの関係性づくりまで4代目に就任された勢純一社長にお話を伺いました。


メーカーが広げた楽しい選択肢を
丁寧に絞り込んでいくのが販売会社の役割です。

■創業85周年おめでとうございます。そもそも御社は北九州にどのような経緯で創業されたのでしょうか?

勢氏:創業者は私の曽祖父にあたりますが、もとは大阪で暮らしていました。兄弟の下の方で、各所で丁稚奉公をしていたところ「福岡で軽自動車の販売を始めるが一緒にやらないか?」と声をかけられたのがきっかけだったとか。今でいうベンチャー企業みたいなものですね。ダイハツ工業が初めて自社生産した小型自動車の名前から、創業時の社名は「ダイハツ号小倉販売所」。1937年(昭和12)に立ち上げて、曾祖父は北九州エリア、声をかけてくれた方は福岡エリアを中心にそれぞれ事業を展開していきました。

■現在の本社(小倉北区菜園場)は敷地が広いですよね。ショールームもオープン当時は西日本最大の広さだったとか?

勢氏:この場所はもとは旭化成さんの火薬工場だったそうです。移転当時は事業がこれほど在庫を抱える規模になるとは考えていなかったようですが、広さも立地も結果的に大当たりでした。ショールームは2代目社長の「ダイハツ車を全種類ショールームに並べよう!」という発案から当時で西日本最大の広さになったそうです。ダイハツの販売会社はあまり大きな投資をしない傾向なんですが、うちは地場なので自由にやれたようで。実は昔の話だけでもなく、昨春オープンした「八幡中央店・U|CAR八幡中央」はダイハツの中古車展示場では日本最大の広さです。わりとそういうのが好きな会社なんでしょうね(笑)。

■お客さまも楽しいですよね。コロナ禍でオンライン化が進み、便利な反面、会って話をする大切さを痛感することも増えました。車の販売ではいかがですか?

勢氏:弊社もオンライン化は少しずつ進めており中古車の一部はすでにインターネット販売も行っています。でも、特に新車においては対面販売がまだしばらく主流かな…というのが肌で感じるところです。車の買い方ってある種、独特でしょう?メーカー希望小売価格はあるものの、オプションや諸経費や値引きで同じ種類の車でもお客さまごとに価格が違う。メーカーが「選択肢を広げる」役割なら、販売会社はそれを「絞り込んでいく」役割なんです。「予算内に収めたいからこのオプションは外そう」「ここはグレードアップしたい」とお客さまのご要望もそれぞれで「予算も装備も譲れん。何とかしてくれ!」という場合もありますし。お客さまと言葉のキャッチボールをしながら納得の落としどころを見つけていくのが私たちの商談なので、電話や画面越しでは素敵な会話になっていくビジョンが見えづらいんですね。

■勢社長ご自身も長く営業を経験されていますよね。車の販売もお客さまとの距離感が近いイメージですが、接客のご経験で印象に残っていることはありますか?

勢氏:以前はお客さまのご自宅で商談をするのが主流でした。お腹いっぱいお茶をご馳走になって長話することもしょっ中でしたし、関係性も自然と深まって「勢さんに買わされちゃったよ(笑)」ってニコニコしながら仰ってくださったり、営業冥利に尽きる思い出をたくさんいただきました。最初の1台を買っていただいた時のことも忘れられません。私は新卒でダイハツ工業に入社したんですが、商品計画など社内業務を経て営業職に就きました。だから「ダイハツ車の知識もあるしすぐ売れるだろう」と内心、少し自信があったんですね。でもいざやってみるとこれが全く…。契約が取れないまま月末が近づいて気持ちが急く中、「若い人が頑張っているから」と高齢のご夫婦さまが私から買ってくださったんです。嬉しかったです、本当に。先輩に電話で報告しながら、知らず泣いていましたから。頑張っている営業はおそらく皆、最初の1台を買ってくださったお客さまのことを一生忘れないです。
 お叱りを頂戴したこともよく覚えています。例えば、事故の連絡を受けてご自宅に伺った時のこと。ご本人さまが不在だったのでお母さまに許可をいただいて車の状態を確認したんですが、後からご本人さまにお電話をいただいて。「私の許可なく勝手に車を見るなんて!お母さんの車じゃなくて私の車だ」と叱られました。お客さまのために早急に対処しようと考えての行動でしたが失敗でした。自分が良かれと思っても「お客さまがどう感じるか」が全てなんですよね。大変勉強になった経験でした。

<北九州ダイハツ販売本社>

■昨今、ダイハツ車をはじめ、軽自動車の人気が高まっているように感じます。実際のところいかがですか?

勢氏:軽自動車の魅力は端的にいえば「コンパクトさ」と「低コスト」。ここに「使いやすさ」が加わってきたのが人気の一因ではないでしょうか。以前は「車に高いお金をかけられないから」と妥協で軽自動車を選ぶ方が多かったのですが、今は車内も広々、使い勝手も格段に上がっています。「毎日使う私の道具」として気に入って乗ってくださるのはやはり嬉しいですよね。

■高齢になると免許の返納を考えたり、車選びに悩むという声も耳にします。何かアドバイスはありますか?

勢氏:高齢の方の場合は特に、運転が好きというより、生活に必要だから乗っている方が多いと思うんです。だからこそお子さまたちも悩ましいんですよね。必要で乗らなければならないなら、少しでも事故のリスクを減らすために、自動ブレーキなど安全性能で車を選ぶことをご提案したいです。自動ブレーキが出始めて10年弱ですが性能はどんどん良くなっていますし、近い将来には自動運転の車も商品化されるはずです。正直に言うと私自身も運転があまり好きではないんです(笑)。事故を起こすのも怖いですし、自動運転の車が発売されたら絶対買うぞと心に決めています。

■運転がお好きでないのは意外です…。

勢氏:できれば運転はしたくないです(笑)。私は車業界が好きなんだと思います。以前、この仕事を続けられなくなったら何をしようかと考えたことがあるんですが、中古車屋さんという結論に至りました。自分で中古車を仕入れて、手を加えて、お客さまに売り歩く中古車屋のオヤジ…想像するだけで最高です。「もしダイハツにいられなくなったら中古車屋をやるよ」と家族にも話しています(笑)。車そのものや運転というより、車に関わる人たちや車業界に私は心惹かれ続けているんだと思います。

■北九州出身の勢社長から見て、北九州はどんな街ですか?

勢氏:大学時代から関西、東京で12年間を過ごして北九州に帰ってきました。出たいと思って出たはずなのに、帰ってきたら自分がこの街をすごく好きなことに気がつきました。北九州のことを悪く言われるとちょっとイラっとしますもんね(笑)。思い出の街並みが変わっていくことには寂しさを覚えますが、子育てをしている親としては住みやすさを実感します。子どもを連れて行ける公園や施設が豊富で、医療費の助成など支援も手厚い。私が育った時代やもっと前の北九州から確実に進化しているし、これからもっとよくなろうと頑張っている北九州が私は好きです。

■最後に、勢社長が大切にしている言葉を教えてください。

勢氏:「自己啓発」という言葉です。最近は本来の意味とは違う印象も持たれる言葉ですが、きっかけは父でした。私が学生だった頃、会社から帰宅した父に1枚のメモ紙を渡されて、そこに「自己啓発」と書かれていたんです。遊んでばかりでろくに勉強しない私を見かねたんでしょうね。「お前には自分を向上させようという意思が見えん」という話をしてくれました。心の支えというと大げさですが、今もそのメモ紙と父の言葉がいつも心にあります。
 15年後、弊社は100周年を迎えます。今度は日本一の新しいショールームで社員一同、ワクワクしながらその時を迎えられるように邁進して参ります。

■勢社長さま、本日は貴重なお話をありがとうございました!

【編集後記】

●圧倒的な広々空間を実現した「タント」、ロングセラーの軽トールワゴン「ムーブ」、キュートなスポーツカー「コペン」など人気の軽自動車がそろうダイハツ車の直営ディーラー・北九州ダイハツ販売株式会社様。今回は、2020年4月に4代目に就任された勢純一社長にお話を伺いました。濱村社長もこの日が初対面でしたが、ドアが開いた瞬間に「いらっしゃいませ!」と勢社長の明るいお声!笑顔と朗らかな北九州弁にすぐに緊張がほぐれました。

●ダイハツ工業の始まりは明治40年、当時輸入に頼っていたエンジン(発動機)の国産化を目指して創業された発動機製造という会社が起源。大阪にある発動機製造だから「大」と「発」で「ダイハツ」の愛称で親しまれ、やがて社名になったそうです。

●家族経営で4代目を継ぐ勢社長。「挑戦の大切さは承知していますが経営者として保守的であるのを自覚しています。自分が事業承継者であるという意識を大切にしたいんです」。創業社長とは異なる事業承継者としてのお考えに、濱村も深く頷いていました。

●自動運転や電気自動車など車の性能の高度化に伴って、それを整備するメカニックの新たな資格制度も始まっているのだとか。驚いたのは社内だけでなく、お取り引きのある業販の方々向けにも資格取得のための研修会などを実施されていること。「モータースさんの協力なしには私たちも生きていけません。高性能化の波はまだまだ続くでしょうし、こうした勉強会や研修会は積極的に続けていく考えです」

●取材場所の本社併設ショールーム(小倉北区菜園場)でひときわ目を引いたのは「コペン」の初代モデル(非売品)。紫紺、濃色(こきいろ)のような深いムラサキ色とまるい曲線のフォルムがなんとも素敵。帰り際、取材陣一同でスマホ撮影会となりました。

●屈託なくお話しくださり、リラックスした雰囲気をつくってくださった勢社長。お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました!
 

北九州ダイハツ販売ホームページ(外部リンク)

取材日:令和4年6月3日(金)